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肺の病気

特殊な気胸

月経随伴性気胸
この気胸は女性の気胸0.9~5.6%と言われています。いまだにこの気胸の存在はわかっていても、そのはっきりとした原因はわかっていません。この病態は異所性子宮内膜症と呼ばれるように、肺の表面や横隔膜に子宮内膜組織が存在しこれが子宮の内膜と同様に周期的変化を起こし、月経の始まる3日前から終了までの間に気胸を起こすものです。再発が非常に多いため、血清のCA125(子宮内膜症のマーカー)を測定し、高値ならば月経随伴性気胸疑いとして横隔膜や肺の表面をくまなく検査し、横隔膜の部分切除、肺病変の切除を行い、癒着療法の追加やホルモン療法を行うのが主流となっています。
肺リンパ脈管筋腫症(通称LAM)
妊娠可能な女性に発症するまれな疾患で、労作時呼吸困難や気胸で発症します。人口100万人あたり1.2~2.3人の発症率です。平均発症年齢32才、1例あたりの気胸発生回数は2.1回と多いのが特徴です。治療は手術、胸膜癒着術、ホルモン療法がありますが、いまだに確立した治療法はなく、難治性です。平成15年から特定疾患に指定されました。唯一の確実な治療法は肺移植です。
マルファン症候群
結合組織の基本的欠損により、骨髄系、眼および心臓血管系に特徴的症候を示す遺伝性疾患です。高身長で手足が長く、心臓弁膜症や大動脈瘤などが特徴ですが、この疾患は、ある調査では約30%に気胸の発症を認めたそうです。この気胸は通常の手術で良好な結果です。

以上、第10回日本気胸・嚢胞性肺疾患学会(通称、気胸学会)より抜粋しました。)

アスベスト肺について

アスベストとは
アスベストとは繊維状の鉱物で、絶縁性が高く、酸やアルカリにも熱にも強いという特性があり、このため多種多様な製品に使用されてきました。身近なものでは建築材料やブレーキ、アスベスト付き金網などです。
アスベスト(石綿)による障害
アスベストを使った仕事に従事していた人及びその家族、アスベストを使う工場の周辺に住んでいた人はぜひ肺のCT検査を受けましょう。アスベストは肺の悪性腫瘍(悪性中皮腫、肺癌)や石綿肺(石綿による間質性肺炎、肺線維症)の原因になる事が知られています。 しかもアスベストに曝されて30年~40年後の忘れた頃に発症してきます。アスベストに曝された人の胸部CT検査で部分的な胸膜(助膜)の肥厚を認めれば、いわゆるアスベストの症状の一つである胸膜肥厚斑と言っていいでしょう。 これは胸部CT検査ではないと診断が困難です。また明らかなアスベスト被爆の既往があり、これらの所見を有する場合には労災の適応があります。 アスベストに心当たりがある方は胸部CT検査による定期的な経過観察が必要です。

慢性閉塞性肺疾患(CDPO)

Chronic Obstructive Pulmonary Disease(COPD)、日本語でいうと慢性閉塞性肺疾患とはいったい何でしょうか?ずいぶん難しい名前です。「こんな堅苦しい呼び名の病気になる人などめったにいない。だから自分は大丈夫」と思われるかもしれませんが、実はありふれた疾患です。
これは有毒な粒子やガスを吸い込むことで、肺の炎症が起こり、進行性の気流制限がもたらされる病気です。 もっと分かりやすく言えば、煙草をいつも吸っていて、咳がよく出て、人によっては呼吸困難にまで陥るという病気です。
大気汚染や遺伝的要因が原因になることもありますが、通常は喫煙者の病気です。
病理学的には気道が破壊されることにより、気道が狭くなり気流が制限されます。それで息も吐きづらくなり、肺がどんどん膨らんでいきます。重症の人では心臓は小さく押しつぶされてしまいます。呼吸が十分できないため、24時間酸素療法が必要になる人もいます。また気管支喘息を伴うことも多く、肺が悪いと心臓に負担をかけるため不整脈や心不全を合併していることもしばしばあります。
診断は、レントゲン検査、CT検査、肺機能検査、心電図などで総合的に判定します。
治療は煙草を吸われている患者さんでは、煙草をやめることがほとんどすべてと言っても言い過ぎではありません。
ただ、病気が進行してしまった方では、煙草をやめた後でも症状が残ることも多いので、それに対しては吸入薬を中心とした内科的薬物療法を行っていきます。また進行した患者さんでは呼吸することに多量のエネルギーを要するため、栄養障害を生じ、その管理が必要になることもあります。
重症の方では、60歳代で死亡される患者さんも時々経験しますが、煙草をやめればその後の進行はともてゆっくりとなり、天寿をまっとうされる方も多くいらっしゃいます。
そこまで重症ではない人でも慢性的な呼吸器症状に悩まされ、生活の質の劣化をもたらすことが多い病気です。
その他、ご不明な点は外来で担当医までご相談下さい。

肺気腫

肺癌
これは肺気腫と肺癌手術のため慢性呼吸不全となり、在宅酸素療法を行っている患者さんの胸部CT像です。肺の構造が壊れて隙間だらけになっているのが観察されます。この方は肺癌手術を受けて禁煙するまで、合計96万本のタバコを吸った計算になりました。少なくともタバコを吸っていなければ、あるいは早めに禁煙していれば、術後の酸素療法は必要なかったと考えられます。肺癌もできなかったかもしれません。

肺癌

肺癌
肺癌
肺癌
近年肺癌の診断は胸部レントゲン写真ではなく、胸部CTによってなされるようになりました。なかでも前癌病変ともいえる小さなスリガラス状陰影(GGO)は高分解能CTでないと発見できません。当院のマルチスライスCTでこの検査を受けられることをおすすめします。

巨大肺嚢胞症

30才台の男性で右の胸痛を主症状に受診されました。向かって右が左肺、向かって左が右肺になります。両側の肺の上半分が異常に黒く写っています。これは気胸ではありません。巨大な肺嚢胞が両側の肺の上にできているためです。肺嚢胞の中にはほとんど血管がありません。したがってX線の透過が良過ぎて真っ黒に写るわけです。正常な肺組織は圧迫され、下の方にわずかに写っています。巨大肺嚢胞症と診断されました。肺嚢胞は破れれば自然気胸となりますが、破れずに進行性に増大すれば巨大肺嚢胞症となります。このままにしておくと肺機能低下が進行し、手術も困難な状態になります。
肺癌
外来受診時の胸部X線像
肺嚢胞の部分でのCT像です。本来あるはずの気管支や血管の陰影が全く認められません。手術治療が必要であることを説明し、手術をすることになりました。厳しく禁煙指導をしたのは言うまでもありません。これほどの大きさになると内視鏡手術は困難で、嚢胞を遺残させてしまうおそれがあります。したがって小開胸(約10cm)による手術を行いました。
肺癌
外来受診時の胸部CT像
これは右肺の手術時の写真です。半透明の壁の表面に網目状の血管をもつ肺嚢胞を認めます。大人の握りこぶし2個分ほどもある大きな肺嚢胞で、この後左だけの片側換気による麻酔に切り替え、切除しました。切除後は肺嚢胞の底にあたる部分を確認し、針ですくうようにしながら用手的に縫合しました。その他、数個のまだ小さな肺嚢胞を切除しました。
肺癌
術中所見
手術の直後からそれまで右の肺嚢胞に圧迫されていた正常肺組織が上方まで伸びているのが観察されます。
肺癌
術直後の胸部X線像
術後3日目に縫合した肺の表面からの空気の漏れが消失し、術後4日目に胸腔ドレーン(胸腔内から血液や漏れた空気を体外にみちびく管)を抜去しました。右の胸腔上部に少量の空気の層を認めますが、これは肺嚢胞ではありません。その下に正常肺が順調に広がってきているのが確認されました。手術前の胸部X線像と比較すれば明らかです。いずれこの空気の層も吸収され、もっと正常に近い状態になると考えられます。半年後に左の肺嚢胞も切除の予定です。
肺癌
ドレーン抜去後の胸部X線像
これは右側の手術後6ヶ月の胸部X線像です。右肺はほぼ正常化しているのに対し、左は肺嚢胞(黒っぽい部分)がさらに拡大しているのが観察されます。この時点で手術を予定しました。
肺癌
右手術後6ヶ月
これは手術を予定して約2週間後の入院時に撮った写真です。左の肺嚢胞の中に水平面が観察されます。これは左の肺嚢胞内に感染をおこして、液体が肺嚢胞内に貯留していることを示しています。
肺癌
左手術前
その胸部CT像です。右肺は一部気腫化を認めますが比較的正常の肺構造を保っております。左肺は巨大な肺嚢胞の中に多量の液体が貯留しているのが観察されます。さっそく前回同様の手術を行いました。
肺癌
術前CT像
術直後の写真です。左の肺の上方はまだ十分に膨らみきっていないため、不透明の部分が存在します。また左の胸腔内には胸腔ドレーン(胸腔内の血液や空気を体外に導く管)があります。クリップのようなものは心電図の端子です。
肺癌
左手術直後
これは術後2週間で退院直前の写真です。左の肺は見違えるように広がり、正常化しているのが観察されます。厳重な禁煙指導の後、元気に退院されました。
肺癌
左手術後退院前
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